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北朝鮮の暴挙に米国の金融制裁再発動を

2012/04/07 14:48

 

 「人工衛星」と称する北朝鮮の長距離弾道ミサイルの発射予告期間が5日後に迫った。

 

 日本政府は、万一に備えて自衛隊法に基づく破壊措置命令を発令し、ミサイル防衛システムを通じて日本の領土・領域と国民の安全を守る態勢を進めている。

 

 とりわけ今回は、3月末に新設された日米の共同統合運用調整所が初めてミサイル防衛の指揮をとる。米軍と自衛隊の新たな連携の真価が問われるだけに、是非とも成功させてほしいものだ。

 

 だが、ミサイル発射を乗り切ったとしても、北の暴挙や脅威が何ら解消されるわけではない。日米韓など関係国は、北が3回目の核実験を強行する可能性も想定し、厳重な監視・包囲体制を緩めずに強化していくべきだろう。

 

 その根拠は、過去2回のミサイルと核に関する北の行動パターンにある。金正日政権がテポドン2号など弾道ミサイル7発を連射したのは20067月だ。テポドン2号は空中爆発して失敗に終わったが、その3カ月後の10月、北は「核実験に成功した」と発表した。

 

 3年後の0945日、同政権はオバマ米大統領の「核なき世界」演説にぶつけるように、テポドン2改良型とみられる長距離ミサイルを発射した。その50日後の525日には、これ見よがしに2回目の核実験を強行したのは記憶に新しい。

 

 09年からちょうど3年目にあたる今回のミサイルは、テポドン2改良型(約3千㌔飛行した)の推進力をさらに強化した再改良型とみられ、「3段式で射程は6千㌔以上」との見方もある。一方の核実験も、06年はいわゆる「不完全燃焼」のために爆発規模は「1㌔㌧未満」(米国防筋)とされたが、09年の再実験の際には、「24㌔㌧」(米推定)~「最大20㌔㌧」(ロシア政府)と推定され、着実に規模を増大させている。

 

 北が着々と進めるミサイルの長射程化と核弾頭の小型化に成功すれば、米国本土を直接脅かすことが可能な域に達するまであとわずかとなる。オバマ政権が最も懸念しているのも、そうした軍事技術の進展にあるといっていい。

 

 ましてや今年は、金日成主席生誕100年(15日)に向けて昨年死亡した金正日総書記が建設を目指してきた「強盛大国」元年にあたる。後継者の金正恩氏は11日にも総書記就任が見込まれるが、朝鮮労働党高級幹部によれば「金正恩大将は『(金正日)総書記の革命遺産の核をもっと活用しよう』と語っている」とも伝えられる。金正恩新体制のベクトルは、6カ国協議でかつて約束した「核放棄」よりも、むしろ「核の誇示と活用」に突き進んでいるとみるのが常識だろう。

 

 国連安保理06年のミサイル、核実験、09年の核再実験に際し、全会一致で3つの非難・制裁決議を採択したが、北はいずれも「決議を拒否する」とはねつけきた。

 

 過去6年間、北が3年周期で着実にミサイルと核の軍事技術の進展を誇示してきた国連決議や国際社会の勧告にも応じようとしない-という周到な行動を重ねてきた事実を踏まえるならば、ミサイル発射に続いて、金正恩新体制が核再々実験へと踏み込まない保証はどこにもない。

 

 問題はミサイル発射から核実験へ進むのを阻止するために、日米韓がいかに対処するかだ。

 

 ブッシュ前米政権の末期、北は核無能力化に応じる「ふり」をしてテロ支援国家指定解除や経済援助をタダ取りした。この轍を踏まぬように、オバマ政権は「核廃棄を自ら確約するまで制裁を続け、6カ国協議再開や米朝直接協議に応じない」(戦略的忍耐)を基本としてきたが、昨年以降、「人道的見地」から食糧支援を名目にした直接協議に着手した。

 

 だが、その結果が「国連安保理決議違反であると北も了解していたはず」(米国務省)のミサイル発射予告である。「核やミサイル活動の一時停止」という約束は、いとも簡単に踏みにじられる形勢となりつつある。

 

 ここに至っては、食糧支援停止といった次元では済むまい。北の暴挙を断固封じる包括的措置が必要だ。野田佳彦政権は3日、日本独自の対北制裁の1年延長などを決めたものの、日米の個別制裁や国連制裁だけでは実効性に限界がある。

 

 オバマ政権は、核兵器開発を進めるイランに対する独自の金融制裁を発動し、同国産原油の輸出制限とイラン中央銀行を世界金融システムから孤立させている。同じ金融制裁を北朝鮮に対して全面発動すべきではないか。

 

 米国はかつて05年~07年に金融制裁を発動して北を動揺させた。だが、北が反発してミサイル・核実験に走り、腰砕けの形で制裁を解除してしまった。しかし、世界の核不拡散体制を揺るがす2カ国のうち、核保有に至っていないイランに金融制裁を発動した以上、核保有を公言する北に再発動してもおかしくはない。オバマ氏は大統領再選など内政上の配慮よりも、勇断をもって対北金融制裁を復活させるべきだ。アジアの平和と世界の核不拡散体制を守るために、日本も韓国などと連携して米国に働きかけを進めるときだ。

 

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日本にサッチャーは出ないのか?

2012/03/27 14:31

 

 メリル・ストリープ氏がサッチャー英首相を演じる英映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』(邦題)を見てきた。

 

 ストリープ氏は米ハリウッドの大女優で、リベラルなヒラリー・クリントン国務長官とも親しい。一方、監督を務めた英国人女性のフィリダ・ロイド氏は、サッチャー氏の政策が「大嫌い」だったそうだ。

 

 それだけに、保守政治家のサッチャー氏に手厳しいのではと若干心配したが、どうして迫真の「サッチャー」が随所に再現され、なかなかの胸を打つ内容だった。

 

 「女性パワー」が見直される今、ストリープ氏もロイド監督も、政策は別として女性同士の連帯感をサッチャー氏に見出したのだろうか。

 

 映画では、国会議員をめざす若き日の彼女が「声がカン高い」といわれて、発声訓練にいそしむシーンがある。そういえば、英国特派員だった私にも思い出がある。19873月、ゴルバチョフ・ソ連書記長への答礼のために彼女がモスクワを訪問し、ソ連外務省の施設で内外記者会見に臨んだときのことである。

 

 数百人は収容できる大講堂だったが、いざ会見の段になって突然、機器が故障したのか、マイクロホンが作動しなくなったのだ。だが、サッチャー氏は涼しい顔で「マイクが故障?いいわ、地声で話します」。はるか後席の記者たちに「あなた方、聞こえる?オーケー、始めるわ」とオペラや舞台女優のような朗々たる肉声で首脳会談の成果を語り始めたのだ。立ち会い演説や英議会で聞き慣れた野太い声(女性に失礼かもしれないが)が、静まり返った講堂に響き渡っていった。

 

 その堂々たる声量、明確な言葉。指導者たる者、マイクがあろうがなかろうが自らの主張を必ずや聴衆に届けるという「政治家サッチャー」の気迫を目撃した。「鍛え方が違うな」と鳥肌が立つような感動に打たれたのを覚えている。映画にも描かれた発声訓練のたまものだろう。

 

 初めて参加した東京サミット(G7)では、「女性宰相の感想は?」と聞かれて「私は女性である前に人間です」と答えた。国会でファッションショーめいたことをしたり、「女性」ということしか売り物がないようなどこかの国の議員らとは違う。

 

 首相を務めた80年代は米国のレーガン大統領、西独のコール首相、日本の中曽根康弘首相らとともに、保守の黄金時代を築いた。自由と民主主義、市場経済、人権などの「西側の価値」を国際社会全体の普遍的原則へ高めたといってもいい。

 

 そうした時代の蓄積が冷戦を克服し、21世紀に入って以降も中国の不透明な軍拡をとがめ、国際ルール無視の行動をたしなめる大切な規範的価値となっている。「アラブの春」の推進力にもつながっている。

 

 内政では「自立・自助」の精神を掲げて社会保障、教育、国防、財政を改革し、炭鉱労組などと敢然と戦って、「英国病」を克服した。

 

 今の時代からサッチャー政権全体をふりかえって眺めれば、功罪さまざまな評価もあるだろう。だが、今も変わらないことは、サッチャー政治の真骨頂が何よりも原則を明示し、決してぶれない姿勢を貫いたことにあると思う。湾岸戦争の際に、ブッシュ父大統領に「ジョージ、ぶれてはだめよ」と助言したのも有名だ。「信念の政治家」と呼ばれたサッチャー氏の功績を今また見直す動きが英国内でも出ているという。

 

 北朝鮮のミサイル発射が迫り、消費増税問題を抱える中、日本の民主党政権はぶれてばかりいる。「決められる政治」を実現するために、この国にも「鉄の女」が早く現れてほしいと思う。

 

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「友人」と呼ばれなかった習近平氏

2012/02/21 15:05

 

 中国の次期最高指導者と目される習近平国家副主席の「米外交デビュー」が終わったが、訪米中の習近平氏による数少ない演説の中で、「友人を評価する真の基準は言葉ではなく、行動だ」というジョージ・ワシントン初代米大統領の格言を引用していたのが目を引いた。

 

 それは訪米3日目の15日、ビジネスや財界関連の友好団体が首都ワシントンで主催した昼食会での演説だ。事前に「重要政策演説」と銘打った割には約15分と短く、中国側報道などによると、米国に対して「一つの中国」政策を守り、台湾チベットなどの「核心的利益」の尊重を行動で示すよう求めることを柱とした内容だった。

 

 従来の中国の主張と比べて、取り立てて大きく変わったところはない。だから、習氏の演説について「スタイルは違っても、中身は同じ」と評した米メディアもあった。私が注目したのは、問題の初代大統領による格言が「互いの利益を尊重しなければ、信頼は築けず、両国関係も危うくなる」と、米側に警告している文脈で使われていたことだ。

 

 習氏にすれば、「中国の友人でいたければ、中台問題やチベットの人権問題などに口をはさむな」といいたくて、初代大統領の格言を持ち出したのかもしれない。

 

 しかし、興味深いことは、米側に「友人」として習氏に向き合うような動きがなかったことである。習氏の演説について報じた米主要メディアでも、この格言にまで触れた記事は見当たらなかった。

 

 また、習氏はオバマ大統領らとの会談や国務省で開かれた歓迎昼食会での公式発言でも、「友人」という呼びかけを連発していた。ところが、これに比べて政権側ではクリントン国務長官が「米中間の友情」に言及したのを除き、習氏を親しく「友人」と呼びかけた人はまずいなかったのだ。

 

 習氏が引用した格言は、いうまでもなく互いに「友人同士」でなければ成立しない。だが今の米政界は大統領選という熱い「政治の季節」のさなかにある。米中の膨大な貿易不均衡、人民元をめぐる対立、人権問題などに対する中国批判の強さなどをみれば、オバマ氏に限らずとも、中国やその次期最高指導者を「友人」と呼ぶのは政治的自殺行為に等しいという事情もあっただろう。

 

 平たくいえば、習氏が「友人」や「友情」をテコ米国に外交的圧力を加えたくとも、米政府、米政界には習氏を「友人」と呼ぶ基盤は存在しない。そんな「片思いの現実」が今回の訪米ではとりわけはっきりと見えたように思うのだ。

 

 オバマ氏中国を「戦略的パートナー」とし、ともに「21世紀を形成する関係」と位置づけて「前向きで協力的で包括的な協力関係」を目指す戦略・経済対話を重ねてきた。

 

 しかし、そのことと、例えば日米同盟のような「同盟・友好」の関係とはおのずから違う。東日本大震災時の日米共同作戦がごく自然に「トモダチ作戦」と命名され、両国民を勇気づけたこととは対照的だ。

 

 ちなみに、ワシントン初代大統領には「自らの評判を大切にしたければ、良質の友を持つべし。悪い仲間と組むよりは孤独のほうがましだ」という格言もある。今の中国に対する米国の政治感覚は、こちらのほうがずっと近いのではないかと感じる。

 

 習氏といえば、日本では芳しからぬ記憶がある。鳩山由紀夫政権下の平成2112月に訪日した際、小沢一郎民主党幹事長(当時)がルールを無視して天皇陛下との特例会見を実現させたことだ。与党の権勢をかさに着たごり押しは、日本で友人を増やすどころか、かえって正反対の結果を生んでしまったことは記憶に新しい。

 

 中国にも「己に如からざる者を友とするなかれ」(自分よりひどい人物を友にするな)という「論語」の格言がある。真の友人を選ぶのはそれほどに難しいことだ。生兵法で米国の格言を使ったりする前に、習氏は孔子に学ぶべきだったかもしれない。

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動物だって学ぶというのに

2012/02/09 21:21

 

 民主党政権には「学習能力」というものがないのだろうか。米軍普天間飛行場移設が米海兵隊のグアム移転から切り離されることになった一連の経過を見ていると、そう思わざるを得ない。

 

 女性を侮辱する暴言で昨年末に防衛省の沖縄防衛局長が更迭されたり、一川保夫防衛相が参院で問責決議を受けたりしてから、まだ2カ月ほどしかたっていない。

 

 その後を追うように、後任の防衛局長が宜野湾市長選への介入の疑いで問題化した。普天間移設とグアム移転が切り離されることになったのは、その直後のことだった。

 

 野田佳彦政権の問題は、単に防衛局長のあり方だけではない。昨年9月の政権発足以来、2代続けて「素人」防衛相を起用してきたことがすべての背景にあるのではないか。

 

 前任の一川氏の失言・放言はいうに及ばず、現職の田中直紀防衛相は沖縄問題ばかりか、憲法や自衛隊など普通の議員が知りおくべき基本知識すらもないことを露呈した。

 

 トップがそんなありさまだから、部下の不都合をまともに処理することもできないのだろう。こんな人物で今後、重要な日米間の防衛・安保協議ができるだろうか。任命権者である首相の責任はまさに重大だ。

 

 首相は一川氏の時は「適材適所」と銘を打ち、田中氏を起用した改造内閣では「最善かつ最強」とうそぶいた。両氏の「業績」に照らすと、いずれも聞いてあきれる感覚としかいいようがない。

 

 首相は口を開けば「普天間移設促進」というが、その実は地元の信を自ら失い、移設を困難にしてきた。心ある沖縄県民や米国から見れば、「移設つぶし」ともいえる結果を招いている。

 

 このままでは防衛省の士気の低下に加えて、米国の対日信頼も失われていくことが国の安全にとって何よりも心配だ。野田政権だけでなく、鳩山由紀夫、菅直人元・前政権から3代続けて民主党の人々は何をどう学んできたのだろうか。

 

 有名なパブロフの犬だって、条件反射で痛い目を見れば学習する。この政党、この内閣には、学習する能力や意思がみられない。

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オバマ氏の「中間層戦略」の中身は?

2012/02/01 12:32

 

 今月初め、ニューヨーク・タイムズ紙の女性記者ジョディー・カンター氏がオバマ米大統領夫妻の内幕を描いた新著『オバマ夫妻』が出版された。新著によると、ミシェル夫人は夫が非凡で偉大な指導者であることを「浅薄で未熟な国民が理解できず、無理解の犠牲にされている」と固く信じているそうだ。

 

 ファーストレディーならずとも、夫の能力をそこまで神格化できる奥さんがいるとは、何ともうらやましいかぎりだ。一方のオバマ氏は議会の醜い政争が大嫌いだそうで、内心では上下両院の議員たちを軽蔑していた。このため、議会幹部らとの交流や根回しをおざなりにしたために重要法案で苦しみ、2年前の中間選挙では民主党の大敗を招く要因になったという。新著では、ホワイトハウスの初代首席補佐官を務めたエマニュエル氏とミシェル夫人が犬猿の仲にあったなどのエピソードも披露されているが、これを読む限り、オバマ氏は親友や側近とされる一握りの人々との付き合いを除いては人付き合いが悪く、どちらかといえば「閉じこもり」気味の性格として描かれている。

 

 そんなオバマ氏だが、いよいよ対決心をむき出しに再選意欲を全開にしたのが先の一般教書演説だったといえる(124日)。

 

 オバマ氏の演説は、有権者の多数を占める中間層をターゲットに絞り、「公正な機会と負担」を繰り返し訴えたが、気になるのは「中間層の味方」を強くアピールしながら、どこかに巧妙なレトリックのワナが潜んでいるようにみえることだ。

 

 その一例は、全米の98%を占める「年収25万㌦以下」の世帯に「増税しない」と約束する一方で、年収100万㌦以上の富裕層には30%以上の税率を課す「金持ち増税」案を復活させたことだろう。確かに今の米国には保守の「茶会運動」にせよ、リベラルの「反ウォール街運動」にせよ、「金持ちをたたけ」といった険悪な空気が満ちている。

 

 だが、本来の「米国の価値」とは、誰もが成功を競い合える「機会の平等」とともに、功成り名を遂げた成功者たちが財団や基金を通じて社会に貢献し、後進を育てる「自立・互助」の精神にあったはずだ。

 

 あくまで個人や民間の自由意思に根ざした精神風土こそ「アメリカらしさ」なのに、金持ち増税は徴税と再配分による公権力の際限なき拡大(大きな政府)につながりかねない。「金持ち増税」を柱とするオバマ提案は昨年夏の議会で財政健全化論議を重ねた際に、共和党の反対で撤回させられていた。それをまたぞろ蒸し返した形である。

 

 もちろん、かつての「エンロン事件」などのように、不当利得をかすめ取る悪質な経営者に厳罰で臨むのは当然だ。しかし、健全な成功者を罰するかのような増税は、結果としてビジネス界やひいては民間基金、財団の活力を奪い、富裕層の逃避すら招くのではないかと心配になる。

 

 また、年収25万㌦(約1900万円)といえば、米国でもかなり豊かな層といえる。この金額で「増税・非増税」を分断するのは、やや政治的で恣意的な印象を受ける。共和党が「一方では超党派の協力を求めるふりをしながら、実質は国民を分断するポピュリスト手法ではないか」と反論したのはそのせいだろう。

 

実際、冒頭の新著「オバマ夫妻」では、閉じこもり気味だったオバマ氏が再選の決意を固めた最大のきっかけは、増税に反対して極端に「小さな政府」を掲げる「茶会運動」に対して、強い敵愾心を抱いたからだったと書かれている。中間層の味方を掲げるオバマ氏が、実はかなり「大きな政府」を目指すリベラル思考にこだわっていることが示されている。

 

 「機会の平等か、所得の平等なのか」の議論や社会的セーフティーネットをどう設定するかは難しい問題で、奥が深い。とはいえ、選挙となれば「何でもあり」の技巧や戦術がものをいう。

 

 とりわけ秋以降の本選では、党員や無党派層を含めて「バイタル・センター」(死活的に重要な中間層)と呼ばれる層の心をしっかりとつかむ戦略と宣伝が欠かせない。

 

 オバマ陣営の本心は4年前の草の根リベラル層の再結集にありそうだが、そうした本音を覆い隠すカバーとして、「中間層の味方」という大看板を立てたのだとすれば極めて巧妙であり、手ごわい戦略に出てきたといえそうだ。

 

 共和党の候補者選びは混戦模様に陥っているものの、ここでも欠かせないのは中間層対策だ。オバマ流とは中身の異なる「中間層戦略」を誰がどう打ち出してくるのかを注目したい。

 

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ライス氏のカゲキな回顧録

2012/01/03 15:27

 

 米国の外交安保政策をめぐり、ブッシュ政権の当事者たちが回顧録を通じて活発な論戦を展開している。

 

 ブッシュ大統領(肩書きはいずれも当時)本人の回顧録は2010年に出版されたが、2011年には2月にラムズフェルド国防長官が回顧録を出版し、8月末にチェイニー副大統領が「私の時代」を出版した。続く11月には、ライス国務長官の回顧録「最高の栄誉」が世に出た。

 

 中でもライス氏の本は、出版社が「驚くべき率直さ」と銘打った通り、イラクアフガニスタン、中東和平、ロシアのグルジア侵攻などの重要な場面で、外国首脳や要人らと交わした会話が直接引用形で次々登場する。読んでいて「ここまで書いていいの?」と思うほど生々しい。相手が故人ならまだいいとしても、存命の指導者たちにとっては、「チョー危い暴露本」といえなくもない。

 

 2008年秋に国務長官として初めて訪問したリビアでは、カダフィ大佐と会談する条件として、二人だけの晩餐に無理やり招かれた。国際会議などでライス氏が写っている写真を多数収集したアルバムを何冊も見せられたり、カダフィ氏の命令で同国の作曲家に作らせた「ホワイトハウスの黒い花」という賛歌まで贈られたそうだ。

 

 今は亡き大佐は、ライス氏を「アフリカのプリンセス」と崇拝していた話が伝えられるが、実際にそのストーカーぶりと異常な行動が詳密に描かれている。

 

 また、北京五輪の年に起きたロシア軍のグルジア侵攻後に行われた米露協議での問題発言も暴露されている。ライス氏との二人だけの電話会談の中で、ロシアのラブロフ外相は、対グルジア和平のための3つの条件を示し、「ここだけの話だが、サーカシビリ(グルジア大統領)をクビにすることが和平の3つ目の条件だ」と要求してきたという。

 

 これを聞いたライス氏は「民主的に選ばれた国の指導者の更迭を要求するなどもってのほかだ。オフレコにもしない」と怒り、英仏などの主要国や国連安保理事会にラブロフ氏の不当な要求を公開してしまった。秘密の要求を告げ口されてしまったラブロフ氏は、「外交会話を公表するとは儀礼違反だ」と激しく反発したものの、後の祭りだった。周辺諸国の主権など無視して省みないロシア現政権の体質がよくわかる。

 

 中東和平では、イスラエルのオルメルト首相がライス氏を呼び出して、大胆な極秘和平構想案をもちかけ、パレスチナ自治政府のアッバス代表との間の取り持ちをしてくれるように求めた秘話が明かされている。ライス氏は初め驚き、興奮しながら、中東和平の打開策とするために任期の最後まで、オルメルト構想の実現に尽力したが、イスラエルのリブニ外相は「この人(首相)は国内の支持を失っている」と、実現性をあてにしないよう求めたという。

 

 回顧録を読む限り、万事歯切れのいいライス氏ではあるが、心残りの点もある。日本でも問題になった北朝鮮に対するテロ支援国指定解除(0810月)に至る決断だ。

 

 ライス氏は大統領にも掛け合って、部下のヒル国務次官補(6カ国協議首席代表)に核問題で広い交渉権限を与え、何とか核放棄の実現に持ち込もうとする意欲満々だった。

 

 結果的には、北に欺かれてテロ支援国指定解除や重油支援などの利益をタダ取りされた形で終わった。当時、日本政府は、そうならないように散々いさめたものだったが、この結果についてライス氏は全体として残念な結果としかみていないようだ。

 

 この問題でチェイニー氏は自らの回顧録の中で、ライス氏が実体を欠いた話に乗せられてしまい、核放棄や不拡散を後退させたとして厳しく批判している。日本から見ても、この点ではチェイニー氏の評価に軍配を上げたい。

 

 このように、チェイニー氏とライス氏は現役時代にも外交安保政策でしばしば激しく対立し、回顧録でも論争が続いている。それでも私が言いたいのは、自らの仕事の結果を率直に世に公開し、歴史と国民に評価を委ねる姿勢だ。その点では両氏ともに評価に値する。

 

 ライス氏は、小泉純一郎政権以後の日本が自信を失い、頼れるパートナーでなくなったとして「訪日が憂うつになった」とも書いている。思えば、日本では5年間に6人もの首相が入れ替わり、あまたの外相が立っては消える日々が続いてきた。首相ももちろんのことだが、最近の日本の外相たちに果たしてまともな回顧録が書けるのだろうかと思うと、何とも空しくなる。

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国民との「絆(きずな)」づくりを忘れた首相

2011/12/17 15:41

 

 2011年の「今年の漢字」に選ばれたのは、「絆(きずな)」だった。流行語大賞のベスト10にも入った。東日本大震災という未曾有の国難に、日本人が共に立ち向かった勇気と信頼の基盤を裏書きするような言葉である。

 

 家族、友人、恋人同士などが互いの安全と幸せのために、自らの犠牲をもいとわない。住民同士、兵士と住民の触れ合い、そして同盟で結ばれた米軍と自衛隊の関係もそうだ。日米共同で展開された「トモダチ作戦」も、そうした心と心の絆の大切さを改めて確かめさせてくれたように思う。

 

 その一方で、この年末には国民との「絆」を自ら失うような政治家の行動も目についた。臨時国会最終日の9日、参院本会議で賛成多数で可決された一川保夫防衛相、山岡賢次国家公安委員長(消費者担当相)の問責決議に対する野田佳彦首相の対応である。

 

 一川、山岡両氏の言動がいかに閣僚にふさわしくないかは、あえて詳述するに及ぶまい。

 

 「安全保障の素人」を自ら公言するような防衛相の存在は、ただでさえ周辺国に足元を見られ、同盟国の信頼を損なうに決まっている。自衛隊員の士気も失わせる。ましてや、北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の強引な海洋進出などで日本の安全保障環境がとみに悪化している時だ。

 

 日米同盟の備えを確実にするために米軍普天間飛行場の早期移設が求められているというのに、普天間問題の原点も経過も「詳細には知らない」と国会で答弁するに至っては、開いた口がふさがらない。普天間移設とセットになっている米海兵隊のグアム移転経費について、米議会が来年度予算から全額を削除したのも「これでは進展は望めない」と判断したからだ。

 

 マルチ商法に絡んで「疑惑がスーツを着たような人だ」と酷評された山岡氏も含めて、9月の組閣時に首相が「適材適所」と胸を張ったのは、わずか3カ月前のことである。両氏への問責決議は「このような多くの問題を抱えた大臣を選んだ野田総理の見識を疑わざるを得ない」と付言している。

 

 にもかかわらず、首相は自身の任命責任を問われるのを恐れたのか、両氏の更迭を拒み、「厳粛に受け止めるが、法的拘束力があるわけではない」と続投させる強気の構えを示した。いわば開き直りともみえる対応だが、これに対する国民の反応は早かった。

 

 今月1011日に行われた産経新聞社とFNNの合同世論調査、読売新聞、朝日新聞の世論調査では、野田内閣の支持率と不支持率が三者そろって初めて逆転し、産経調査では不支持率が過半数の51.6%に及んだ。問責閣僚については「辞任すべきだ」の回答が一川氏80%、山岡氏が73%(産経調査)にのぼり、読売調査でも両氏とも過半数に達した。朝日調査では、両氏の続投を決めた首相の対応を「評価しない」が59%あった。

 

 「続投決定」の背後には、民主党内の小沢一郎元代表のグループへの「党内融和」の配慮が取りざたされた。

 

 だが、もしも首相がきっぱりと一川、山岡両氏の更迭に踏み切っていれば、大多数の国民の共感を得られたのではないか。党内力学上の損失を補ってなお余りある国民世論を味方にできたのではないだろうか。――そう思うと残念でならない。

 

 政治指導者が「党よりも国民」を選び、国家全体の利益を最優先する姿勢を率先して示してこそ、国民との信頼関係という絆が生まれるはずだ。

 

 政治制度の違いはあるが、かつてサッチャー英首相、レーガン米大統領は与党内の融和よりも、広く国民の信に答えるために政策の断行に力を注いだ。小泉純一郎元首相も、党内の反対を押し切って郵政解散に踏み切ったことで、有権者の信任を獲得したといえる。

 

 もう一つ、首相に望みたいことがある。就任3カ月も過ぎたのに、一度も沖縄を訪問しようとしないのは何故かという問題だ。

 普天間を移設することによって現在地の危険性は除かれ、日米同盟の抑止力が維持強化される。並行して行う海兵隊のグアム移転や嘉手納以南の米軍施設返還と併せて、地元基地負担は大幅に軽減される。

 

 日米両政府が「最善の解決」として合意した現行計画に沖縄の理解を得られない理由は、鳩山由紀夫、菅直人元・前政権の迷走も大きいが、今の政権を預かるトップの野田氏が自ら沖縄に足を運び、地元の人々や仲井真弘多知事らと心の絆を結ぼうとしないからではないのか。

 

 野田氏には「泥臭く汗をかき、ドジョウの政治をとことんやり抜きたい」と語り、初の所信表明では「正心誠意」を掲げた。その初心に立ち返ってほしい。「今年の漢字」をかみしめて沖縄を含む国民との絆を再構築することが同盟の絆を固めることにもなると思う。

 

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「職業は武装解除」

2011/12/11 23:09

 

 友人の瀬谷ルミ子さん(日本紛争予防センター事務局長)が『職業は武装解除』と題するユニークな本を出版した(朝日新聞出版、2011920日刊)。少し遅くなったが、ぜひご紹介したい。

 

 

 タイトルや表紙写真からも分かるように、日本人女性として、世界の紛争地帯を飛び歩き、紛争後の復興、平和構築、治安改善、社会の再統合などにがんばってきた体験記だ。24歳で国連ボランティアの仕事に飛び込み、気がついてみたら、アフリカやアフガニスタンなど世界の各地で紛争に見舞われて困っている人々の世話を焼いていた。

 

 個人の勇気ある体験記としてもとても面白いが、それ以上に、彼女の前書きの次の下りに深い感銘を受けた。

 

 「世界の紛争だけでなく、日本社会も、私たちの人生も、同じだと思う。

 行動しなければ、何も変わらない――。」

 

その通りだし、日々、それを実践している瀬谷さんの重い言葉だ。できるだけ多くの人が読んでくれて、勇気と行動する元気をもらえるといいと思う。

 

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鈍感首相の「適材適所」

2011/12/06 18:48

 

 外相と防衛相が国家の外交と安全を担う枢要ポストであるのはいうまでもない。その2大要職にど素人を据えて「適材適所」と胸を張った野田佳彦首相の感覚には、当初から強い違和感があった。

 一川保夫防衛相の相次ぐ暴言、乱行に対して野党が参院問責決議案の提出を決めたのは当然としかいいようがなく、むしろ遅きに失した感すらある。理解できないのは、この期に及んでも首相が更迭を拒む発言を重ねていることだ。

 内閣府が3日発表した「外交に関する世論調査」では、「米国に親しみを感じる」と答えた人が過去最高の82%を記録し、「中国に親しみを感じない」は71%にのぼった。

 前者は東日本大震災の際、日米共同で行われた「トモダチ作戦」で多くの国民が「日米同盟の特別な絆を感じた」(外務省)からで、後者は尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件などで中国の本性がはっきりと透けてみえたからだろう。日露関係でも「良好とは思わない」が増えている。いずれも、日本の安全保障環境がかつてない危機に直面する中でどの国を信頼し、どの国を警戒すべきかを国民が率直に肌で感じていることを示すデータといっていい。

 にもかかわらず、外相、防衛相を含めた野田政権の軌跡は、こうした民意を踏まえているとは言いがたい。日米同盟の絆を強化し、中露に対しては厳しい現実的対処で臨むという決意がみえないからだ。

 とりわけ防衛相の言動は単に沖縄の信頼を無にしただけではない。日本外交の発信力を損ない、国益を日々毀損しているのではないか。「致命的なものはない」から辞める気もない、という言い訳にはあきれる。米外交が本格的なアジア太平洋シフトに転じたというのに、米軍普天間飛行場移設の遅れは同盟の足を引っ張り、米国の対日信頼を失わせている。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)問題や中露との懸案なども山積している。

 そうした全体像を見ずに、首相が任命責任の回避や「党内融和」にこだわっているのだとすれば、為政者として国民感覚からますます乖離し、漂流していくのではないだろうか。「適材適所」という当初の言い分は、とてつもないジョークに聞こえる。

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オバマ政権の対中国包囲網づくりが始まった

2011/11/20 22:00

 

オバマ米政権のアジア太平洋シフトが本格的に始動した。それを如実に示したのが1819日、インドネシアのバリ島で開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議だったと思う。

 

 バリ島を舞台にした一連の会合のハイライトは、東アジアサミット(EAS)だ。ASEANを含む18カ国首脳が一堂に会する場となり、とりわけオバマ大統領は初めての公式参加だった。日米などの主導によって、中国の強引な海洋権益拡大を牽制し、南シナ海の海洋安全保障に重点を置いた原則宣言を採択して閉幕したが、その結果は海軍力増強を背景に力づくで海洋権益拡大を進める中国をハードとソフトの両面で包囲していくオバマ戦略の発動といっていい。

 

 オバマ米政権による「アジア太平洋シフト」は、今年10月、クリントン国務長官が米外交誌「フォーリン・ポリシー」(11月号)に発表した「アメリカの太平洋の世紀」と題する外交論文に詳細に示されている。イラク、アフガン戦争の一段落を機に、米国の政治、経済、外交・安全保障の戦略的重点を本格的にアジア太平洋地域へシフトしていくということだ。

 

 発表当時、論文は国務省のメディア向け広報メルマガなどを通じて事前に世界に紹介されていった。さらに1110日、ハワイで開かれたAPEC首脳会議に向けて長官がホノルルで行った外交演説でも、同じ内容を強調しているところを見れば、長官個人の見解というよりもオバマ政権の総意として「アジア太平洋シフト」を積極的に世界にPRする狙いが強くうかがえた。

(この論文は、日本語の仮訳が下記の在日米大使館のホームページにも転載されている。)

http://japanese.japan.usembassy.gov/j/p/tpj-20111104-01.html

 

 長官の論文は「世界の政治の将来を決めるのはアフガニスタンでもイラクでもなく、アジアであり、米国はその活動の中軸となる」という書き出しで始まる。太平洋~インド洋に至る広大な地域を一体の海洋戦略の文脈でとらえ、米国の外交、経済、戦略などの資源を集中的に投入していくと宣言した。米国は第二次大戦後の冷戦時代を通じて、大西洋で米欧諸国間に北大西洋条約機構(NATO)欧州連合(EU)、全欧安保協力機構(OSCE)などの包括的な安全保障協力や相互防衛、相互協力のためのネットワークを創設したり、その発展に力を貸して、確固たる米欧の協力システムを形成してきた。そうした歴史と自信、実績を踏まえた上で、米国と太平洋・インド洋を結ぶ地域にも同じように永続的な協力の網を構築する--という壮大な戦略である。

 

 その柱となるのは、「航行の自由」「開かれた自由貿易」「国際規範の尊重」などの原則であり、核拡散を阻止し(北朝鮮イラン)、軍事的透明性を確保する(中国)。2国間(同盟)やマルチ(多国間)の多様なネットワークを構築・展開し、大西洋型の同盟、協力関係、地域機構による平和と繁栄の秩序の網を構築するという。

 

具体的には「前方展開外交(Forward Deployed Diplomacy)」と称して、

1)      2国間同盟の強化

2)      中国など台頭国家との協力

3)      アジア太平洋の地域機構(例えばEAS)に関与を強める

4)      貿易・投資の拡大

5)      広範囲な軍事プレゼンスの形成(豪州との米海兵隊常駐協定)

6)      民主主義と人権の推進-を行動指針にするという。インドの存在も重視し、日米印対話などを通じて南西アジア安定の基軸と位置づけていく構想も示されている。

 

もう一つ、長官の論文やオバマ氏の演説などを通じて注目すべき力点は、「中国との協力」のあり方である。中国には、責任ある大国としての行動と国際秩序への支持と協力を求めていく。しかし、中国が国際ルールを守らずに無理を通そうとするならば、問題行動を封鎖するための柔らかな包囲網を形成していく決意と戦略と読むことができる。今回、オバマ大統領がとった一連の外交はまさにそれに相当すると思う。

 

  東アジアサミットへ向けた大統領の歴訪では、用意周到な手を打ってきた。オーストラリアを訪問して米豪海兵隊常駐協定を発表し、バリ島に入ってからもユドヨノ・インドネシア大統領との会談で、同国への最新型F16戦闘機供与計画を発表した。民主化の努力を始めたミャンマーにはクリントン国務長官を訪問させる(12月)。ハード(軍事合意)とソフト(訪問外交)を巧みに織り交ぜた手段で機先を制してきたため、中国は例のない守勢に立たされ、東アジアサミットでは「南シナ海」問題で四面楚歌の状態に追い込まれた。

 

 海洋安保問題では、参加18首脳のうち16人が発言したことが象徴的だ。オバマ氏は「武力行使や脅迫は容認できず、多国間協議で解決すべきだ」と求めた。中国温家宝首相は「議論する適切な場ではない」と部外者の介入を拒んだが、東南アジア諸国の大半は米国に同調したという。

 中国が今後も根本的に姿勢を改めなければ、対中包囲網はさらに拡大するだろう。南シナ海だけでなく、日本の国益や平和と安全に直結する東シナ海でも対中包囲網を築くための主体的戦略を練っていく必要がある。その第一歩は米軍普天間飛行場移設問題の解決であり、日米同盟の強化であることはいうまでもない。

 

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